飼い主のいない猫へのえさやりは、「ねこ迷惑」の意見と、「命あるねこを守りたい」の意見が対立する火種になりがちです。
「えさをやるから、ねこがくる。」VS「ねこがいるから、えさをやる。」よく耳にする対立ご意見ですね。
猫と花地域環境ネットワークの地域ねこセミナーにお招きした講師のお一人、新宿区保健所の高木さんは、この件に関して、明解なご説明をなさいました。現在、もっとも有効とされている飼い主のいないねこの問題解決方法である「地域ねこ活動」を推進するにあたっては、えさやりを禁止はだめなのです。
なぜか。
@ねこは縄張り内でえさを探すために、ごみの集積場やゴミ箱を荒らすことになる。
Aえさをもらっていた場所と時間に姿をみせなくなるだけで、縄張り内に棲息し続ける。
(ねこは自分の縄張りを保持する習性があります。)
Bねこにえさをあげる人は、猫をみかけた場所であげるので、餌場が少し移動するだけとなる。
C地域ねこ活動で重要となる不妊・去勢手術をするために、猫の数は、出没場所がわからなく、保護することが難しくなる。
Dえさを継続してあげることによって可能な、その場所のねこの数を把握や、不妊・去勢の効果測定をすることができなくなる。
Eもし、手術ができたとしても、術後のねこと迷いねこ、飼い猫などの情報がなくなり、判別ができなくなる。
F地域住民のルールをめぐる対立をあおることとなる。
「ねこ迷惑」の意見が上がってきたとき、えさやりを禁止する、それですべてが解決するわけではない、ということです。
逆に、表面上解決したようにみえて、問題が先送りされてしまうだけなのです。
ねこは増え、ゴミが荒らされるようになる。あるいは、隣にえさやりの場所がうつるだけ。
そして、ねこ迷惑派と守りたい派の対立は、ずっと、続くことになります。
この終わりのない、対立の状況を絶とうとしようとする活動、それが「地域ねこ活動」なのです。
なんとか、この対立が、終わりますように。
次回も、この話を進めていきましょう。
2013年09月08日
「えさやり禁止」は「地域ねこ活動」を妨害する
posted by 猫と花地域環境ネットワーク at 18:23| 日記